裏コードと完全代理・第一回「ドミナントコードの定義」

前振り

 おはようございます。お世話になっております。りんろんたです。

 そういえばブログを作ってたな、とも思いつつ何にも書いてなかったので、こっちに色々と書いておこうかなと思います。

 普段はyahoo知恵袋とかで蘊蓄を垂れ流してましたが、他人の質問に答えるよりも自分自身が面白いと思った話題を書いた方が精神衛生を保てることに気づいたので、ブログでやろうかなと。

 今回は初回更新なのですが、MusicPlanzの新標準音楽理論の重要概念のひとつであるところの「代理」に至るまでの筋道を縦断的にまとめてみる、って試みのシリーズを早速はじめたいと思っています。

 第6回くらいまでを目処にしており、各回の予定としては

  • 第1回・ドミナントコードの定義(当記事)
  • 第2回・ハーモニーの進む先
  • 第3回・ドミナントモーションという現象
  • 第4回・高級代理と低級代理
  • 第5回・対応スケールとテンション
  • 第6回・総概論

 となってます。このうち第3回までの内容を執筆しているところです。

 音楽理論の部分については真面目にやりますが、それ以外の部分は、申し訳ありませんが至って不真面目にやらせていただこうと思っています。是非最後までお付き合いください。

musicplanz.org

巷で噂の裏コード

 理論をちょいとばかしかじった人なら全員知ってる、でも使い方がよくわからない、その最たるものが「裏コード」だと思うんです。

 世間的には「ドミナント」とか呼ばれてたり、「tritone substitution(トライトーン代理)」とか呼ばれてたりしますが、その定義としては「お互いのルートがトライトーンの関係にあるドミナント7thコード」みたいに説明されてるのが一番よく知られてるんじゃないか、と思います。

 一番有名なのだと、key of CにおけるG7の裏コードであるD♭7ですね。

 この「裏コード」というのがようするに「代理コードの一種」として扱われているわけですが、音楽の素養も全くなく、初めてこれを知って分からないなりに鳴らしてみて、G7とD♭7のサウンドの違いに

これって本当に代理できるの?

 って不安になることがあると思うんです。

 その気持ちはすんご〜〜〜くよくわかるんです。誰しもが通る道なんじゃないですかね。代理するには代理するだけのルールがちゃんとあるんです。それがわかれば、裏コードこそが真の代理コードであるということがわかってきます。
 今回はその触りであるところの、「ドミナントコードの定義」についてを私の言葉で説明したいと思います。

ドミナント7thコード

 以下、初学者さんやMusicPlanzのテキストを1回か2回読んだことあるくらいの方に向けたの説明なのですが、「そんなん知っとるわ!」って人はこの記事は飛ばしちゃって結構です。

 もしかしたらこの項目を読んでちんぷんかんぷんの人がいると思います。そんな人は悪いことは言わないのでこの記事の冒頭にリンクを貼ったMusicPlanzの音楽理論のテキストを最初から順序よく読んでみてください。この記事を理解するためには、少なくとも「音楽理論1」の範囲までは読んでおくことをおすすめします。

トライトーンって何です?

 1オクターブが12コの半音でできてることくらいはみなさんご存知かと思いますが、この1オクターブを半分こして6半音ずつに分けたとしますよね。そこにある音がトライトーンなんです。

 例えばCから1オクターブ上のCまでを半分にぶった切ると、

C D♭ D E♭ E F F♯ G A♭ A B♭ B C

これ!このF♯が、Cにとってのトライトーンというわけです。表記としてはG♭でもOK。

 度数でいうと減五度増四度ということになりますが、つまり完全五度よりも半音狭く、完全四度よりも半音広い音程とも説明できます。減五度と増四度をひっくるめてトライトーンと呼びます。トライトーンはひっくり返してもトライトーンになります。

 名称としてはこの音程が全音3つ分になるので、3つの(トライ)全音(トーン)でトライトーンです。このトライトーン、実はドレミファソラシの7音の中にもあるんですよ。

C D E F G A B

ようするにファです。キーに含まれる音が全全半全全全半って並んでる以上は、実はどんなキーにも1組のトライトーンがあります。 むしろ、トライトーンを1つだけ含むようにドレミファソラシドという形が作られている、と考えてもいいかもしれません。

F-全-G-全-A-全-B

全+全+全=6半音

また、逆からみて

B-半-C-全-D-全-E-半-F

半+全+全+半=6半音

→トライトーンはひっくりかえしてもトライトーン!

 このトライトーンにあたる音を同時に鳴らしてみると、いわゆる普通の音楽に慣れ親しんだ人にとっては「なんとなくの不気味さ」というか、「えもいわれぬ恐れ」を抱くと思うんですよ。だから何だ、って言われると困ります。嘘です。

 このえもいわれぬ恐れっていうのが、楽曲の世界を形作っていくエネルギーを与えているわけですが、これは「完全代理」が成り立つ理由と密接に関係しています。これについては結論を急がず、シリーズを通してゆっくり解説していきます。

 ちなみにトライトーンは現代音楽とか普通じゃない音楽の沼にズブズブはまっている人には逆に「気持ち良い音」に感じるのだそうです。そこまでいくとちょっと危ないと思います。どれくらい危ないかというと、顔の前で屁をこかれても怒らない人くらい危ないと思います。是非怒りましょう。

 ちなみにですが、りんろんたは沼とか田んぼとかぬかるみで泥まみれになるのが好きなタイプです。ポケモンでいうとガマゲロゲとかヌオーとかマッギョとかそういう感じのタイプです。電気タイプの攻撃はこちらには一切効かないのでピカチュウあたりはワンパンで余裕と思います。

そもそもドミナント7thコードって?

 裏コードを説明する前に、そもそもドミナント7thコードとは何か?ってことを説明しなきゃいけないですよね。

 ところでわざわざ"7th"ってつけてますが、普通は「ドミナントコード」で通じます。初心者向けの説明では7thをつけることにします。

 で、その定義っていうのは簡単に書くと、

根音の他に M3(長三度) m7(短七度)をコードトーンに持つコード

(五度はなんでもいい)

です。「五度はなんでもいい」って書いてますが、

P5 完全五度

+5 増五度

o5 減五度

 五度にはこの3種類があります。いずれの五度であろうとも、M3とm7を構成音に含む限りドミナント7thコードなのです。なんなら省略してもよいのです。正直言って五度は飾りです。このシリーズを読んでいくとその理由がわかってくると思います。

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 これがドミナント7thコード。五度が3種類あるので3種類あることになりますが、本質的には全部G7の仲間です。違う色で表示してるのがM3とm7です。

 ここで注目すべきは、M3とm7がトライトーンをなしている、ということ。key of Cのドレミファソラシだけで作られるコード(ダイアトニックコード)では、G7だけがドミナント7thコードになります。M3がシ、m7がファです。

 そうです!ドミナント7thコードとは、トライトーンをコードトーンであるM3とm7に持っているコードなのです!(しつこい)

  ちなみにですが、音楽理論をその身に宿すりんろんたの身体でいうと、M3はおしりの部分にあってm7は口についてます。要するに、m7で食べてM3から出すというトライトーン構造を持っています。もしかしたらりんろんたの五度の部分では不思議なことが起こっているのかもしれませんね。何も起こっていないかも知れません。音楽理論とは関係のないことですが、その謎は次回以降で判明します。

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トライトーンを持つそれ以外のコード

 ところで、key of Cでトライトーンをコードトーンに持つダイアトニックコードとしては他にBφ7(別表記でBm7-5)があります。これはドミナント7thコードとよく似た構成音を持ってはいますが、Bφ7ドミナント7thコードが持つ能力を持っていません。同じトライトーンを持つG7とは異なる性質を持つのです。誤解されがちですが、これは結構重要なこと。

 Bφ7がドミナント7thコードとしての性質を持たないのは一体何故なのでしょう。ドミナント7thコードが持つ能力とはなんでしょう。それについては第二回「ハーモニーの進む先」で説明したいと思います。

まとめ

 というわけで、私りんろんたはじめんタイプでピカチュウはワンパンで余裕であることと、m7で食べてM3から出すトライトーン構造をその身に宿していることがわかりました。

 そういうふざけた話でなく、音楽理論についてきちんと真面目に正しい理解をしたいのであれば、まずMusicPlanzの音楽理論のテキストを順番通りに読んで学習することをおすすめします。このシリーズはそれがあってこその、ある視点から縦断的に理論を切り取って並べる試みのひとつというわけです。

 というわけで、次回は「りんろんたの五度の部分では一体何が起きているのか」について書きたいと思います(嘘)。